全国で火災報知器の設置が義務化されたことは、ご存知の方は多いでしょう。しかし、ご自身の住まいが対象となるのか、火災報知器を設置していないと罰せられることがあるかなど、詳細な部分をはっきりと理解しているでしょうか。
今回は、住宅用火災警報器が必要な住宅の種類や、設置しない場合の罰則、さらに家の中で火災報知器の設置が義務となっている場所などを解説します。
また、火災報知器の設置に際しての重要なポイントも説明しますので、参考にしてみてください。
消防法の第17条と各市町村の条例に基づき、住宅用火災警報器の設置が義務化されています。これにより、住宅や住まいの構造に応じた警報器の設置場所や種類が細かく決められています。
消防法による規定は、火災発生時の早期発見と迅速に避難するための重要な防災策です。
ここでは、火災報知器の設置が義務化された背景や、設置しなかった場合の罰則規定について解説します。
火災報知器の設置が義務化されたのは、住宅で火災が起きた際に、逃げ遅れによる死者数の割合が多いことが大きな理由の1つです。特に、就寝中に火災が起き、燃えていることに気付かずに逃げ遅れてしまう場合が多い傾向にあります。
つまり、火災に早い段階で気付いていれば、被害が大きくなる前に対応できる可能性が高いのです。
また、日本に先だって火災報知器の設置を義務化したアメリカでは、義務化後に火災による死者数が目に見えて半減しました。このようなアメリカの事例も、国内での設置義務化に大きく影響しています。
画像引用:総務省消防庁|平成21年版 消防白書
日本の多くの自治体では、消防法に基づき設置義務があるものの、火災報知器を設置していない場合に対しての罰金や強制的な罰則は設けられていません。また、火災報知器の設置を報告する義務もないのが現状です。
しかし、火災報知器を設置しないことによるデメリットは多く、火災が発生した場合のリスクが増大し、人的被害や財産の損失が拡大する可能性があるのは事実です。消防法で定める火災報知器の設置基準を守り、住宅内の安全を確保するためにも適切に設置しましょう。
住宅用火災報知器は、住宅への設置が義務付けられており、その必要性は日々高まっています。しかし、すべての住宅が同設置義務を負うわけではなく、住宅の種類や条例によって、設置義務が免除される場合もあります。
この章では、火災報知器の設置が義務付けられている住宅の種類と、設置義務が免除される住宅について詳しく解説します。ご自身の住まいが設置義務の対象かどうか確認してみてください。
火災報知器の設置義務が課せられているのは、基本的にすべての住宅です。一戸建てであれば、新築・中古は問いません。また、マンションなどの集合住宅も同様に火災報知器の設置が義務化されています。
ちなみに、賃貸物件の場合は、物件の所有者や管理会社が火災報知器を設置することが多く、すでに設置されていることがほとんどです。
住宅を購入し、住居内に火災報知器が設置されていなければ、必ずご自身で火災報知器を設置するのが義務です。
火災報知器は、戸建てやマンションといった住宅の種類を問わず、設置義務があります。しかし、中には設置が免除となる場合もあります。
以下が、火災報知器の設置義務が免除になる可能性のある住宅です。
※火災報知器設置の義務が免除になるかどうかは、消防長・消防署長が個々に判断をしています。
法律や地域の条例によって、住宅用火災警報器の設置が義務となっている場所があります。
ここでは、設置が推奨される場所を、設置が必要な理由とあわせて解説します。中には、設置が義務となっている場所もあります。
火災報知器を設置するのが望ましいとされているのは、以下の場所です。
それぞれの場所と設置が必要とされる理由について、簡単に説明します。
寝室は、全国共通で必ず火災報知器の設置が義務となっている場所のひとつです。火災の発生する時間は就寝中が多く、住宅火災における逃げ遅れによる死亡者は6割にものぼるからです。
また、子ども部屋であっても、就寝に使用する場合は寝室と同様に設置しましょう。
寝室に設置することで、もし住民が就寝中に火災が発生した場合、火災報知器の警報音によって火災に気付き、被害を最小限に抑えることが可能です。
階段も、全国で共通して設置が義務付けられています。なぜなら、階段は火災発生時の避難経路として重要な場所だからです。特に、住宅火災では、煙が家の中に充満して安全に避難ができなくなるまで、3〜5分ほどと言われています。階段への設置により、火や煙が広がる前の避難へとつなげられます。
また、複数階にわたる住宅では、火災が発生した階から他の階に煙が広がる前に、火災に気付けるため、予防的な意味でも有効です。
階段における具体的な設置場所ですが、住居の作りによっては必ずしも設置が必要ではありません。例えば、寝室が一階(避難階)の場合です。
寝室が一階の場合は、階段ではなく寝室に設置します。しかし、寝室が一階であっても、階数が多い住宅は階段への設置が必要です。階段が複数ある場合など、住宅によってさまざまなケースがあるので、詳しくは下図を参考にしてみてください。
画像引用:住宅防火関連|総務省消防庁|住宅用火災警報器Q&A
台所は、市町村によっては火災報知器の設置が義務付けられている場所のひとつです。台所は火を使うことが多く、火災の発生リスクが高い場所です。調理中に油が燃えたり、誤って火を消し忘れたりすることが火災の原因となることが多くなっています。
特に、台所のガスコンロで起きた火災原因の一位は、火を消し忘れたことによるものだそうです。
台所への火災報知器の設置は、火災が起きてすぐのタイミングで警報が鳴り、迅速な対応へとつながります。
居室(居間)も、お住いの市町村によっては火災報知器の設置が義務付けられています。居室は、家族が日常的に過ごす場所であり、火災が発生した場合、逃げ遅れるリスクが高い場所でもあります。
万が一居室で火災が起きても、煙が広がる前に感知し逃げ遅れを防げる可能性が高まります。
住宅内での火災を予防するために、住宅用火災警報器の設置が法律で義務付けられていますが、ただ設置するだけでは、十分な対策とは言えません。
ここでは、設置場所や交換時期、メンテナンスなど、火災報知器設置時のポイントを詳しく解説します。
火災報知器を設置する際には、以下のような点に気をつけましょう。
それぞれのポイントを解説します。
火災報知器は、住まいに合った種類のものを選ぶのが大切です。火災報知器には、煙感知タイプや連動型など、さまざまな種類があります。自分の住まいに合った報知器を選ぶことは、火災時の安全性を高めるために非常に重要です。
特に、複数階の住宅では連動型の住宅用火災警報器を選ぶことで、階段や寝室など離れた場所でも同時に警報が鳴り、早期に避難ができます。
このように、自身の住まいに最適な火災報知器を選択して設置することは、火災から命を守ることにつながります。
火災報知器は、適切な場所に設置するのが大切です。設置の際には、機器が確実に火災を感知できるよう、場所の選定をすることで、より火災の甚大な被害を防げます。例えば、天井に設置する場合、壁から一定距離を空けることが推奨されています。
また、蒸気の発生しやすい場所や埃の多い場所などでは、感知能力が低下する恐れがあります。さらに、台所は調理中の煙や蒸気で誤作動が起こりやすいため、誤警報を避けるように工夫して設置しましょう。
火災報知器を設置した後は、定期的なメンテナンスが必要です。定期的にテストボタンを押して動作確認を行い、正常に警報が鳴ることを確認します。目安として、最低でも年に1度の点検が望ましいです。
点検は、設置している機種によりますが、ボタンを押すか、紐を引っ張ることでテストができます。
テストの結果、正常に反応しない場合は、すぐに交換しましょう。
また、火災報知器はどうしても埃がたまるので、放っておくと正常に作動しなくなる可能性があります。定期的なお手入れとして、火災報知器の埃などを取り除き、掃除するのもおすすめです。
お手入れの際は、火災報知器の煙流入口に強い力を加えないようにするなど、いくつか注意点があるので、以下のお手入れ方法を確認してみてください。
能美防災株式会社|火災報知器のお手入れ方法
火災報知器は、交換時期を守りましょう。一度設置してそのまま放置してしまいがちですが、住宅用火災報知器は、設置から約10年を目安に交換することが推奨されています。これは、センサーの劣化によって火災を正確に感知できなくなる可能性があるためです。
また、火災報知器のメーカーによっては、電池が切れたことを知らせるアラーム音がなることもあります。
劣化や電池切れを防ぐためにも、10年を目安に火災報知器を交換し、火災による被害を防ぎましょう。
火災報知器の設置義務に関してや、火災報知器の設置場所などについてお話しました。火災は突然発生します。だからこそ、住宅用火災警報器の正しい設置は、家族の安全を守るために必要不可欠です。各地域の条例や義務を確認し、適切な種類の警報器を、必要な箇所にしっかりと設置しましょう。
また、10年を目安に交換し、常に機器が正常に作動するようにメンテナンスを行うことも重要です。火災報知器を適切に設置し、大切な人の命を守りましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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