火災通報装置は、火災発生時に消防機関へ迅速に通報するための重要な設備です。火災が起きた際に重要な役割を果たす物と理解していても、具体的な使い方までは知らない方も多いかもしれません。
そこで今回は、火災通報装置の基本的な特徴から使い方、押さえておきたい注意点まで解説します。
緊急時にも冷静に対応できるよう、この機会に火災通報装置の使い方を確認しておきましょう。
火災は予測できない災害であり、いざという時の迅速な対応が被害を最小限に抑える鍵となります。特に大規模な建物や公共施設では、火災通報装置の設置が法律で義務付けられている場合もあり、重要な安全対策の一つです。
火災通報装置を適切に活用することで、万が一の火災時に備えることができます。まずは、火災通報装置の特徴について解説します。
火災通報装置は、火災の発生を瞬時に感知し、火災が発生した際に迅速に消防機関へ通報を行うための装置です。火災通報装置は、電話回線を利用して消防機関へ直接連絡が可能です。
火災通報装置は、設置されている建物や場所に合わせてさまざまなタイプがあります。火災通報装置の使い方は自動と手動、大きく分けて2種類の方法があります。
自動タイプは、火災発生後、煙や熱を検知して自動的に消防機関に通報。
手動タイプは、通報装置のボタンを自ら押して通報を行います。
火災通報装置は消防機関に自動で通報できますが、消防機関以外にも、関係者の連絡先を通報先として登録できるものもあります。
連絡先を登録しておくと、消防機関に通報されるこのタイミングで自動通報されます。
火災発生という緊急時は現場でさまざまな対応に追われるので、速やかに関係者に連絡できるのは有用です。
連絡先を登録できるかどうかは、使用される機種によりますが、登録しておくのがおすすめです。
火災が発生した際、迅速に対応するためには火災通報装置の使い方を事前に理解しておくことが必要です。
通報方法には専用のボタンを押すものや電話機を使うものなど、さまざまな形態があり、各設備が連動して動作します。
火災時の初動対応をスムーズに行うためにも、火災通報装置の基本的な使い方を把握しておきましょう。
火災通報装置は、熱や煙を検知して自動で通報までできるので、ここでは手動での火災通報装置の使い方の流れを解説します。
火災通報装置の手動での使い方は、大まかに以下のような流れになっています。
それぞれの使い方を順を追って説明します。
火災が発生したら、火災通報装置の通報ボタンを押します。
通報ボタンを押すことで消防機関へ連絡がいきます。このボタンは、火災通報装置の目立つ位置に設置されており、迅速な対応が求められる状況下でも簡単に操作できるようになっています。
電源や電話回線が確保されていれば、ボタンを押すだけで通報が完了し、その後、音声での通話による詳細な状況説明が可能です。
火災通報装置の通報機能を利用し、消防機関にメッセージを自動で送信します。火災通報装置には、あらかじめ建物の所在地や電話番号、契約者などを登録することが可能です。
登録しておくことで、自ら119番に電話をかけて住所などを伝える手間が省けます。
注意点として、住所の登録時は離れた場所の本社などの住所にはせず、火災通報装置を設置している建物の住所にしましょう。
※詳しい使い方は、お使いの火災通報装置の機種によって若干異なることがあります。
火災通報装置によって通報すると、今度は消防機関から電話がかかってきます。
この電話は、火災の被害状況などを確認するためのもので、通常の電話と同様に、受話器を取ると消防機関との通話ができます。
火災発生時は、初期消火や人命救助など、最優先しなければならないことが多いので、必ずしも電話に出なければならないわけではありません。
また、「通話割込ボタン」を押すと、メッセージを再生している最中でも、消防機関と通話できることも覚えておきましょう。通話割込ボタンは、誤報の際にも使用できます。
火災通報装置は、火災が発生した際に迅速に消防機関へ通報を行うための重要な設備です。この装置が適切に設置され、正しい使い方を守れば、被害の拡大を防ぐことができます。
しかし、設置場所や使い方を誤ると、通報が遅れてしまったり、装置が誤作動を起こしてしまったりする可能性もあります。
この章では、火災通報装置の使い方に関する注意点を説明します。
火災通報装置を設置する際、適切な場所に設置することが重要です。装置は、火災が発生した際に迅速に通報ボタンを押せる位置を選ぶ必要があります。
特に人が集まる場所や避難ルートに近いところに設置すると、緊急時の対応がスムーズになるでしょう。また、装置の故障や感電を防ぐために水や火の直接の影響を受けないような場所を選びましょう。
長期間にわたって安全に使用できる場所に設置することも大切です。
火災通報装置は、火災警報器と連動させることで、より効果的なシステムとして機能します。火災が発生した際に警報が鳴ると同時に、通報装置が自動的に消防機関へ通報を送るように設定することが可能です。
これにより、火災発見者が通報ボタンを押す必要がなく、火災の早期対応が可能となります。火災警報器との連動システムを導入することで、さらなる安全対策を強化できます。
通報装置が自動で消防機関に通報を送る際、正確な住所情報が登録されていることが重要です。誤った住所情報が設定されていると、消防隊が現場を見つけられず、火災対応が遅れる可能性があります。
設置後は、通報システムに登録された住所が正確であるか、定期的に確認することが必要です。引っ越しした場合は、必ず住所情報を更新しましょう。
火災通報装置が緊急時に正しく機能するためは、定期的な点検と維持管理が重要です。電源や電話回線、通話機能など、多くの要素が正しく作動していなければ、適切な通報が行えない可能性があります。
特に、停電時においても正常に動作できるような電源管理や、消耗部品の交換時期の確認が不可欠です。ここでは、火災通報装置の点検と維持管理に関する重要なポイントを解説します。
火災通報装置は、法律で定められた定期点検が必要です。一般的には、年に2回の点検が推奨されており、そのうち1回は点検の結果を所轄の消防署に報告することになっています。
点検は、第四類の消防設備士又は第二種の消防設備点検資格者が行います。
点検では、装置の動作確認や、通報機能が正常に作動するかのチェックが行われ、必要に応じて試験通報も行います。音声による通話機能や電話回線が確実に機能していること、そして消防機関への通報が行えるかを確認します。
点検の際には、システムの動作ログを確認し、異常がないことを記録しておくことが大切です。
点検の項目については、以下のページを参考にしてみてください。
法務省消防庁|別表第13 消防機関へ通報する火災報知設備の点検の基準
火災通報装置が常に稼働するためには、電源管理が重要です。特に停電が発生した場合でも、装置が正常に動作するように、電源の確保が必要です。専用のバッテリーや非常用電源が装置に設置されている場合は、これらの定期的な点検と交換が発生します。
停電時にも通報が行えるシステムであることを確認するために、バックアップ電源を利用した動作試験も重要です。
火災通報装置には、消耗部品や一定期間で交換が必要な部品がいくつか含まれています。例えば、ボタンの保護カバー、ヒューズ、専用のバッテリーなどが挙げられます。これらの部品は、使用頻度や経年劣化により機能低下することがあるため、定期的な確認と交換が必要です。
また、各部品がいつ交換されたのか、その履歴をしっかりと管理しておくことが重要です。これにより、突発的な故障を防ぎ、火災時に確実に装置が作動する状態を保つことができます。
火災通報装置の使い方を社内で共有し、従業員全員が理解している状態にしましょう。火災通報装置は、いつ誰が使うことになるかは分かりません。
すべての従業員が、火災発生時にも適切に火災通報装置を使用できるようにすることが重要です。
社内で定期的に避難訓練を実施し、その際に火災通報装置の使用方法を従業員に把握させるのが理想的です。
火災通報装置の特徴や使い方、点検などについて紹介しました。火災通報装置は、万が一の火災時に迅速に対応するために欠かせない設備です。
火災発生時に自動的に通報を行いますが、緊急時に備えて使い方をよく理解しておくと安心につながります。
また、火災通報装置を正常に作動させるためには、定期的な点検や電話機などの設備の維持管理が非常に重要です。
火災通報装置を正しく活用し、安全な環境を維持しましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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